更新日:2020-07-31

医療費や介護費を節約できる世帯分離のメリット・デメリット

「世帯分離をすると医療費が安くなるって本当?」「世帯分離をすることで何かデメリットはないのかな…」

病気がちな人がいる世帯、高齢な親を持つ世帯にとって、医療費や介護費負担は家計の大きな割合を占めてきます。そこで、世帯分離をすることで医療費などが減らせるかもしれません。

この記事では、医療費が大きな負担になってきた家庭に向けて、世帯分離のメリットとデメリット、世帯分離によって医療費負担が減るのはなぜかなどを解説していきます。

世帯分離をすることで医療費・介護費の負担を減らせる可能性がある

  • 世帯分離とは住民票の世帯を分けて世帯主を複数人登録すること
  • 逆に国民健康保険料の金額が上がる、扶養手当を受けられなくなる可能性もある
  • 「生計を別々にした」という理由で世帯分離の申請しなければいけない
  • 世帯分離の手続きは市区町村の役所の市民課で行う

※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、掲載カードローン各社の営業時間等が変更になっている場合があります。詳細は各社公式サイトをご確認ください

世帯分離とは

「同居しているのに世帯を分けるってどういうこと?」

「そもそも世帯主ってどうやって決めるの?」

始めに、世帯分離とは何かを説明していきます。世帯や世帯主の言葉の定義も理解しておきましょう。

世帯分離とは

同居している家族に対して、住民票上の「世帯」を分けることを世帯分離と言います。

世帯分離とは
同居したまま、住民票に登録されている1つの世帯を2つ以上に分けること。

同居しているのに住民票上では「世帯」を分けて登録することが可能なのです。世帯分離をすることで、住民票上には、同じ住所に複数の世帯主の名前が登録されている状態になり、医療費の負担を減らすことができるなどのメリットを受けることができます。

世帯・世帯主とは

そもそも、世帯や世帯主とは、どのように定義されているのでしょう。

世帯とは
同居して生計を共にする者の集まり、または独立して住居を維持する単独者のこと。
世帯主とは
同居して生計を共にする者の集まりである「世帯」の代表者で、主に生計を維持する人。または独立して暮らす単身者。

世帯主は、1つの住居、生計を維持するのに必ず必要な人です。よって、例えば、親の扶養に入っている学生などが一人暮らしをしている場合でも、別の住所に住んでいる限りは学生自身が世帯主となります。

世帯主は2人以上でもOKで誰でも登録できる

世帯主は1つの住所に対して1人以上存在している必要がありますが、必ず1人でなければいけないという決まりはありません

例えば、実家で親と二人で同居していても、生計が異なれば世帯を分けることができます。

親が世帯主になっている実家に暮らしていても、自分で独立して生計を立てていれば、自分だけの世帯を作り、自分が世帯主になることが可能です。

また、世帯主になるのに、収入の有無は関係ありません。よって、同居していて既に仕事をリタイアしている親であっても、世帯主として登録し、世帯分離をすることができます。

世帯分離のメリット

同居している家族に対して、わざわざ世帯主を複数人設定し、世帯分離をするのはなぜなのでしょうか。

世帯分離をすると医療費・介護費の負担を減らすことができる

世帯分離をする一番のメリットは、医療費や介護費の負担を減らすことです。

具体的には以下の費用負担を減らすことが可能になります。

世帯分離で負担を減らせるもの

  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 介護保険料
  • 高額医療費
  • 高額介護サービス費
  • 入院・介護施設費の食費や居住費

世帯分離をすると医療費・介護費が減るのはなぜか

先ほど挙げたような保険料や医療費、介護費は、主に世帯当たりの所得の合計金額をもとに、保険料や医療費、介護費の自己負担の上限金額が決められています。

所得の多い世帯に対しては保険料や自己負担額が高くなり、所得が低い世帯に対しては自己負担金額が低くなるという仕組みになっているのです。

例えば、親と同居している人が世帯分離をした場合、世帯分離をしたあとの親の健康保険料や高額医療費などの上限は、親自身の所得だけを基準に計算することになります。

世帯分離後に負担を減らせる可能性のある費用

先ほど挙げた、世帯分離によって費用を減らせる可能性がある6つの項目について、詳細を見ていきましょう。

(1)国民健康保険料

会社に勤めておらず、家族の扶養に入っていない人であれば、国民健康保険に加入することになります。

世帯分離によるメリット1

毎月支払う国民健康保険料を安くすることができる

国民健康保険は世帯ごとに加入する制度であり、世帯単位の収入に対して保険料が決まる仕組みになっています。

よって、現在、国民健康保険に加入している家族がいる場合には、世帯分離をすることによって世帯単位の収入が減るので、国民健康保険料も下げることができます。

保険料は自治体によって異なりますが、国民健康保険料は会社勤めの人が加入する健康保険よりも保険料が高いため、節約することの家計に対するメリットは大きいでしょう。

(2)後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療制度は、75歳(寝たきり等の場合は65歳)以上の方が加入する医療制度です。対象となる高齢者は個人単位で保険料を支払います。

74歳までは国民健康保険に加入しますが、75歳からは後期高齢者医療保険に加入し保険料を支払っていきます。

世帯分離によるメリット2

  • 毎月支払う後期高齢者医療保険料を安くすることができる
  • 後期高齢者医療保険によって決められた医療費の自負担上限金額を下げることができる

後期高齢者医療保険料も自治体によって金額は異なりますが、高齢者本人の所得区分によって保険料が異なります。また、世帯単位の所得状況などによって、窓口で負担する医療費の割合や、自己負担の上限金額が変わります

窓口負担額

所得 窓口負担 個人の外来上限額
現役並みの所得者 3割 57,600円
一般 1割 14,000円
低所得者 1割 8,000円

現役並みの所得者とは、収入額が世帯単位で年収383万円を超える世帯のことを言います。

収入が年金のみの場合には低所得者にあたるため、年金暮らしをしている75歳以上の親と同居している場合には、世帯分離をすることで医療費の負担割合を3割から1割に減らすことができるかもしれません。

(3)介護保険料

介護保険料とは、40歳以上の健康保険加入者全員が必ず加入するものです。40歳になった月から介護保険料の支払い義務が生じ、以降生涯にわたって介護保険料を支払い続けます。

世帯分離によるメリット3

毎月支払う介護保険料を安くすることができる

介護保険料も、所得によって保険料が決まる仕組みになっているので、40歳以上で介護保険料の支払いをしている人と同居している場合には、世帯分離することで保険料を下げられる可能性があります。

(4)高額療養費

高額な医療を受けた時に、医療費の一部の払い戻しを受けられる制度を「高額療養費制度」と言います。

世帯分離によるメリット4

高額療養制度による、高額医療を受けた場合の自己負担上限金額を下げることができる。

高額療養費制度によって払い戻しが受けられる金額(自己負担上限額)は世帯単位の所得によって以下のように決められています。

高額療養費の自己負担上限額

所得区分 自己負担限度額 多数該当
※2
標準報酬月額83万円以上
または報酬月額81万円以上
252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% 140,100円
標準報酬月額53万円~79万円
または報酬月額51万5千円以上~81万円未満
167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% 93,000円
標準報酬月額28万円~50万円
または報酬月額27万円以上~51万5千円未満
80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% 44,400円
標準報酬月額26万円以下
または報酬月額27万円未満の方
57,600円 44,400円
被保険者が市区町村民税の非課税者等 35,400円 24,600円

※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。

※2診療を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。

(5)高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、介護に関する費用が上限金額を超えた場合に払い戻しを受けることができる制度です。

この制度は介護に関する費用であればなんでも対象というわけではないため、その点にはご注意ください。

介護保険施設への入所、またはショートステイでの食費や居住費、日常生活費、ベッド代などが介護サービス費にあたります。

高額介護サービス制度での自己負担上限金額も、世帯単位の所得によって決められています。

世帯分離によるメリット5

高額介護サービス費の自己負担上限金額を下げることができる

介護が必要になると、このような介護サービス費は毎月固定で発生するため、自己負担上限金額が抑えられれば大きな節約につながるでしょう。

以下の表のように、要支援、要介護者のレベルや所得によって、高額介護サービス費の負担割合が大きく異なります。

高額介護サービス費の上限金額

限度額 1割負担 2割負担
要支援1 50,030円 5,003円 10,006円
要支援2 104,730円 10,473円 20,946円
要介護1 166,920円 16,692円 33,384円
要介護2 196,160円 19,616円 39,232円
要介護3 269,310円 26,931円 53,862円
要介護4 308,060円 30,806円 61,612円
要介護5 360,650円 36,065円 72,130円

世帯分離をすることのデメリット

「高齢な親と同居している人は全員世帯分離をした方がお得ってこと?」

「世帯分離をすると逆に負担が増えるケースはないかな…」

ここまでの説明だけだと、同居する家族に医療費がかかる人がいる場合、高齢な人がいる場合は必ず世帯分離をした方がいいという気がします。

しかし、世帯分離をすることで逆に損をしてしまう可能性や、そもそも手間を考えて、世帯分離をしない方がメリットがあるケースもあります。

世帯分離によるデメリット

  1. 合算の国民健康保険料が増える可能性がある
  2. 医療費の合算ができなくなる
  3. 会社から扶養手当がもらえなくなる
  4. 住民票取得などの手間が増える

(1)合算の国民健康保険料が増える可能性がある

逆に国民健康保険料が増えてしまうのは、世帯分離後にもお互いの世帯に十分な収入がある場合です。

世帯分離をすると、それぞれの世帯の国民健康保険料が所得に基づいて再計算されますが、「平等割り」と呼ばれる各市区町村で定めた一定の負担額も世帯ごとに加算されてしまいます

その結果、両世帯の所得が比較的高い場合に、両世帯の合算の国民健康保険料は世帯分離前よりも高くなる場合があります。

(2)医療費の合算ができなくなる

同一世帯の者が同じ月に自己負担限度額を超えた高額な医療費を支払った場合に、同じ世帯であれば医療費を合算して申請できます。

また、年間を通して、同じ世帯内の人の医療費の合計が10万円以上かかった場合には、所得控除を受けることもできます。

しかし、世帯分離をして別世帯になってしまった場合には、このような医療費の合算ができなくなります。

世帯員の年間の医療費があまりかからないために、世帯内で合算をしないと高額医療費制度が受けられない、年間10万円を超えないという人は、世帯分離をするメリットは少ないかもしれません。

(3)扶養手当がもらえなくなる

会社勤めをしている人で、同居している家族を扶養に入れている場合には、会社から家族扶養手当を支給されていることもあるでしょう。

世帯分離をすることによって扶養からは外れることになるので、世帯分離をして扶養家族が減ると、扶養手当によってもらっていた収入は減ることになります。

会社によって規定されている扶養手当の人数や金額と、世帯分離によって負担が減る医療費などを比較して、よく検討しましょう。

(4)住民票取得の手間が増える

役所に行って住民票の写しを取得することができるのは、同一世帯の人に限ります。

別の世帯の人が代理で取得する必要がある場合には、委任状を書いて持っていく必要があるので注意が必要です。

大きな問題ではないかもしれませんが、病気で役所に出かけることができない家族がいる場合には、毎回委任状を持って役所で手続きをする必要があることを覚えておきましょう。

世帯分離が認められないケース

ここまでの説明を踏まえて、世帯分離をした方がメリットが多そうだという場合でも、世帯分離ができないケースもあります。

世帯分離が認められないケース

  • 医療費、介護費の節約だけが目的であることが明らかである場合
  • 生活保護の受給が目的である場合
  • 夫婦の世帯分離を希望する場合

医療費や介護費の節約が世帯分離の最も大きなメリットですが、実は、節約が目的であることが明らかである場合には、役所では快く世帯分離の手続きを進めてくれないことがあります

あくまでも、世帯分離の目的は「生計が別になったから」という理由でなければなりません。

世帯分離後も親を経済的に援助する場合には、厳密には生計を別にしたことにはなりません。

世帯分離をしたからといって援助をしてはいけないわけではありませんが、世帯分離の手続きの際には「生計が別々である」ということを強調し、経済的支援をしているということをあえて伝える必要はないでしょう。

同じ理由で、生活保護の受給を申請することを理由に世帯分離をすることも認められません。

また、夫婦は原則的に世帯を分けることができません。

世帯分離の手続き方法

最後に、世帯分離の実際の手続きの方法を見ていきましょう。

手続き場所

世帯分離の手続きができるのは、各市区町村の役所の住民課です。

自治体によって、市民課や区民課、町民課などと呼び方が異なることがあるので注意してください。

住民課に世帯分離届やその他の書類を提出して手続きを行います。

提出書類

世帯分離をするには、「異動届」に必要事項を記入して提出をします。

異動届は、役所の窓口に置いてあるので、その場で記入して提出するようにしましょう。

記入上の注意としては、異動者になる人は、世帯から分離する人たちです。新世帯主欄には分離後の世帯主名を、旧世帯主欄には分離前の世帯主名を記入しましょう。

持参するもの

異動届を記入したら、以下のものと一緒に窓口に提出します。

持参するもの

  • 届出をする人の本人確認書類
  • 届出をする人の印鑑
  • 分離する人の国民健康保険被保険者証
  • 委任状(世帯主、世帯員以外の人が手続きをする場合)

届出手続きをする人、分離する人それぞれで必要なものが異なるので注意しましょう。

別の第三者が手続きをする場合には、委任状も必要です。

世帯分離届を提出できる人

世帯分離する世帯の世帯主、もしくは世帯員に限ります。

分離する本人、または元々同じ世帯にいた人であれば誰でも可能です。

それ以外の人に依頼する場合には委任状を書く必要があります。

世帯分離届の提出期間

世帯分離の届出は、分離の事実があった日から14日以内と定められています。

生計が別々になった日を明確に定義したりカウントするのは難しいですが、世帯分離を決めたらできるだけ早く手続きをするとよいでしょう。

この記事のまとめ

病気がちな人や介護が必要になった家族を持つ場合、医療費、介護費の負担は大きな問題です。この記事で説明したように、世帯分離をすることでお互いの世帯にメリットがある可能性があるので、一度家族内で相談をしてみましょう。ただ、役所に申請する場合には、医療費や介護費の節約が目的であるという前提で相談をすると快く引き受けてくれない場合もあるので注意しましょう。

関連記事

お金がないときはどうする?緊急時の乗り切り方

「給料日までお金がない…予定もあるけどどうやって乗り切ろう…」

更新日:2020-07-31

親を扶養に入れることのメリットとデメリットを比較

「そろそろ親が退職する年齢なので扶養に入れてほしいと言われた…」

更新日:2020-07-31

住宅ローンの団体信用生命保険とは?メリット・デメリットや加入条件

「住宅ローンの団体信用生命保険って何?」「持病があるので団体信用生命保険に…

更新日:2020-07-31

【検証】本を高く売る方法は意外なアレだった?効率的な買取方法を…

「本をできるだけ高く買い取ってもらえる方法とは?」 本を売ろう…

更新日:2020-07-31

不要なものを売るのにおすすめの方法は?

「家にある不要なものを売って少しでも生活費の足しにしたい…」 「どうせ捨てる…

更新日:2020-07-31