※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、掲載カードローン各社の営業時間等が変更になっている場合があります。詳細は各社公式サイトをご確認ください。

監修者
ファイナンシャル・プランナー、キャリアコンサルタント
大久保 名美
おおくぼ なみ
三菱UFJ銀行カードローン |
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目次
審査基準は返済能力の有無—他社借入があるから必ず落ちるわけではない
他社からの借入があるかどうかだけで、カードローンの審査がすべて決まるわけではありません。審査の目的は、お金を貸した後に借手がきちんと返済してくれるかどうかを見極めることです。つまり、借手に返済能力があるかどうかが審査のポイントになります。
確かに他社からの借入の有無は、返済能力があるかどうかを判断する際の大きな要素です。しかし、借入の件数や借入額の違いはもちろん、借手の年収や他社できちんと返済しているかといった実績なども考慮して、審査の通過・不通過の判断は行われます。
つまり、他社借入があっても、他の要素の評価が高ければバンクイックの審査に通る可能性はあります。
信用情報に傷があると審査の通過は難しい
一般的に、信用情報に傷があるとカードローンの審査の通過は難しいといわれています。
「信用情報」とはクレジットやローンの契約申込の状況と返済履歴、残りの債務状況などの情報のことで、貸手が借手の返済能力を把握するために必要な情報になります。
貸手にとっては、借手の返済能力の見極めはとても重要です。
土地などの担保があれば、万が一の場合、その担保を処分することで貸手は資金を回収できます。しかし、カードローンのような担保がないローンの場合は、返済が滞れば資金が回収できなくなるリスクが一気に高まります。
そのリスクを避けるため、貸手は借手の信用情報に基づき、「きちんと返済してくれる人」なのかどうかを慎重に見極めようとするのです。
例えば、過去にカードローンの返済で延滞した履歴がある場合、一定の条件のもと「事故情報」として信用情報に記録されます。これが信用情報に「傷がある」状態です。銀行や消費者金融に「返済能力が低い」と認識されてしまう可能性が高くなるので注意しましょう。
審査に通過するためにも、ほかのカードローンの返済をきちんと行うことが大切です。
信用情報は信用情報機関で管理
日本には「信用情報機関」と呼ばれる第三者機関があり、借手の信用情報を記録管理しています。貸手は借手の支払能力を判断するために、この機関に信用情報を照会するのです。
信用情報機関には3つの機関があり、銀行と信販会社、消費者金融でそれぞれ利用する機関が異なっています。
代表的な信用情報機関
- 全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
- 株式会社 シー・アイ・シー(信販会社系)
- 株式会社日本信用情報機構(消費者金融系)
それぞれ別々の機関ですが、3つの機関はお互いの情報を共有するためのシステムを用意しているので、業種を問わず他社からの借入情報などはわかるようになっています。
例えば消費者金融のカードローンですでに借入実績があり、さらに銀行のカードローン(バンクイックなど)を申し込んだとき、銀行は全国銀行個人信用情報センターに照会をかけさえすれば、申込者の消費者金融に関する信用情報も確認できます。
あなたの信用情報は、信用情報機関で適切に管理・共有されているのです。
他社借入と利用限度額、金利の関係—融資額は下がり、利率は上がる
他社借入がある人が借入申込をする場合、利用限度額や金利は、他社借入がない人とは異なってきます。
一般的に、他社の借入があると利用限度額は下がり、借入の金利は上がる傾向があります。これは、他社借入がない人に比べて「貸し倒れ」のリスクが高いと判断されるからです。
他社も含めた借入全体の額で考えてみましょう。
新しく借入を申込んで、その結果、借入全体の額が多くなれば、月々の返済額が多くなっていきます。また、返済回数が増えれば、払い終わるまでの返済期間も伸びます。
返済額が増えたのに収入が変わらなければ、生活費やその他の資金が長期間にわたり圧迫されるかもしれません。将来的に返済が滞ってくる可能性が高まります。
そうなると、貸手から見ると貸し倒れリスクが高まるので、回収できなくなる可能性が上がる分、貸出金利は高く、貸出限度額は低く設定されるわけです。
この関係を知って、自分の収入と無理なく返済できる額とのバランスを比較検討してみた上で、カードローンの利用申込をすることが大切です。
銀行のカードローンは総量規制の対象外だが自主規制で厳しい審査を実施
現在日本には、法律で定められた「総量規制」という制度があります。これにより消費者金融は借手の年収の3分の1を超える貸出ができないことになっています。
借手によっては複数のカードローンからお金を借りているケースもありますが、総量規制はすべてのカードローンの借入額を合算した金額で、年収の3分の1を超えていけません。
一方、銀行のカードローンは総量規制の対象外です。しかし、バンクイックの利用限度額の設定では、年収の3分の1以上を超えてはいけないという自主規制を設けています。
総量規制も、銀行独自の自主規制も、借手側からみれば「借りられる金額が制限される」仕組みです。しかし、どちらも「お金を借り過ぎてしまって返済できなくなる事態を避ける」という利用者を保護するための取り組みであることを忘れないようにしましょう。
借入先を増やすことのデメリット—月々の返済額の増加
他社借入している人が、バンクイックなど、新たなカードローン契約を結び、借入先を増やすことはあまりおすすめできません。借入先が増えると返済できなくなる可能性が高まるからです。
複数のカードローンから借り入れると、それぞれの会社に対して月々決まった額の返済をしなくてはいけないので、合計すると毎月の返済額が増加します。したがって、収入とのバランスによっては、返済不能になる可能性も出てきます。
他社借入していて新たにバンクイックで借り入れたらどうなる?
他社借入している状況で、バンクイックと契約、新たに借り入れしたらどうなるかを検証してみました。
下の表は、すでに消費者金融のカードローン2社から合計50万円の借入をしていて、さらにバンクイックから50万円を追加で借り入れたというシミュレーションの結果です。
複数のカードローンから借りた場合の返済例
会社名 | 借入額 | 返済回数 | 金利 | 月々返済額 | |
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(1)既存借入 | A社(※1) | 30万円 | 24回 | 17.8% | 1万5,000円 |
B社(※2) | 20万円 | 24回 | 18.0% | 1万円 | |
合計 | 50万円 | - | 2万5,000円 | ||
(2)追加借入 | バンクイック(※3) | 50万円 | 36回 | 14.6% | 2万4,140円 |
合計 | 100万円 | - | 4万9,140円 |
(※1)プロミス公式HPの返済シミュレーション参考
(※2)アイフル公式HPの返済シミュレーション参考
(※3)三菱UFJ銀行「バンクイック」公式HP返済シミュレーション参考
- 追加借入前の状態
借入額の計=50万円
月々返済額=25,000円 - 追加で借り入れたとき
借入額の計=100万円
月々返済額=49,140円
今回のシミュレーションでは、新規で借入額をこれまでの2倍に増やし、新規の返済期間を36回と長くしてみましたが、結果は月々の返済額が2倍近くに増加しました。
どうしても追加で借入が必要な状況でも、各社のWebサイトに掲載されている返済シミュレーションなどを参考に、月々の返済額と収入とのバランスを確認することが重要です。新たなカードローンには、返済できることを十分に確認してから申し込むようにしましょう。
契約しているカードローンの利用限度額の増額を申請する
他社借入がある状態で他社のカードローンを申し込む場合、審査は厳しくなります。また月々の返済額が増えて、収入によっては返済が厳しくなることも予想されます。
そこで、新たに借入先を増やす前に検討してほしいのが、いま契約しているカードローン会社に利用限度額の増額申請をしてみることです。
これまできちんと返済していれば、その実績が評価されて、増額申請の審査に通過する可能性はあります。
ただし、過去返済を遅延していたり、当初借り入れたときより年収が減っていたりすると、借入額を減額されたり、サービスの停止の可能性もあるので注意が必要です。
- 利用限度額の増額申請のメリットとデメリット
- メリット
- 借りられる金額が増えて他社借入の必要がなくなる
- 増額に伴い、金利が下がる可能性がある
- 借入先が増えないので、返済の手間が増えない
- 他社借入より月々の返済額が少なくなる可能性が高い
- デメリット
- 借入希望額より減額になる可能性がある
- 審査次第では、カードローンを利用できなくなる可能性もある
- 月々の返済額が少ない分、返済総額(利息)が増える可能性がある
借入を1本化するおまとめローンを検討する
すでに複数のカードローンからの借入がある場合には、借入を1社にまとめる「おまとめローン」を利用することも選択肢に入れてみましょう。
借入件数が多い場合には、1社にまとめることで、月々の負担を軽くすることが期待できるでしょう。借入額が多くなると金利が下がる可能性もあります。また、借入が1社になるということは、返済が月1回になるので手間が減り、口座振替での支払いの場合は、残高の確認が楽になります。
一方で月々の返済額が減るということは、返済期間が延びるということです。完済まで時間がかかると支払う利息が増え、結果として総返済額は増えてしまいます。余裕のあるときに繰上返済などを積極的に行って、早めに返済するようにしたいものです。
- おまとめローンのメリット・デメリット
- メリット
- 月々の返済額を減らせる
- 金利が下がる可能性がある
- 返済の手間が減る。口座振替なら残高確認の手間が減る
- 資金管理の心理的負担が減る
- デメリット
- 返済期間が長くなると返済総額(利息)が増える
- おまとめローンは基本的に新規の借入ができない
- 自社のカードローンには利用できない